刑事裁判では、当事者に「異議」を言うという権利があります。
異議理由は法律で決まっている
たとえば、検察官が証人尋問において不適切な尋問を行っているときには、弁護人はその尋問を制限するよう、異議を言わなければなりません。
どんな場合に異議を述べることができるのか、どんな内容の異議を述べることができるのかは法律や規則で定められています。
適切な異議を述べるためには、法律・規則の正確な理解が必要不可欠です。
そして、即座に異議を言わないとそのまま手続きは流れてきますので、異議を述べるべきかをその場で判断しなければなりません。
正しく異議を述べることは高度な技術と経験を要します。
異議を出さないことは致命傷になる
実際には、弁護士の中でも異議をほとんど言わないという弁護士の方が多数派ともいえます。
しかし、不当な尋問が行われた場合や、裁判所により不当な訴訟指揮が行われたときに、異議を述べなければ、依頼者にとって、致命的な問題となり得ます。
たとえば適切な異議を言えば尋問が制限されるような、関連性のない(しかし、被告人にとって悪印象を与えるような)事実を尋問している場合に、異議を述べなければ、そのまま被告人が回答し、結果として、悪印象となり、重たい判決となることもあり得ます。
刑事弁護人には、異議の技術が要求されるのです。