刑事事件の示談
示談という言葉をよく聞くと思います。刑事事件においては、一般に、事件を起こしてしまった容疑者、被告側(加害者側)が、被害者に対して損害賠償金を支払って和解することを指して「示談」ということが多いです。
示談は、損害賠償をするとともに被害者との間での和解ですから基本的には被害者との間での民事的な解決を示すものです。しかし、やはり被害者との間で和解をしたということは、刑事処分においても考慮されます。
具体的には、起訴される前であれば加害者側が不起訴処分などの軽い処分になる可能性が高まりますし、裁判になった後であっても言い渡される刑が軽くなる効果を持ちます。
示談のメリット
他方で、被害者側にとってもメリットがあります。被害者がもし自分の受けた損害を加害者側に請求しようとしたら、例えば民事裁判を起こすなどして取り立てを行わなければなりませんが、相応の労力がかかります。また、示談であれば加害者側の家族などがお金を準備して支払うケースも多く見られますが、民事裁判等では加害者の家族に対して請求をすることは原則不可能です。もちろん、賠償額に納得がいかなかったり、そもそも示談をしたくない場合には加害者側からの申し込みを断ることもできますが、被害者側としても、早期に損害賠償を受けられるという一定のメリットがあります。
私たちは、加害者側の弁護人として示談交渉をすることが多く、それはもちろん加害者側の利益を求めて行うものです。ただ、具体的な示談交渉の中で被害者とお会いした際には、被害者側にも上記のようなメリットがあることを理解していただき、双方にとって良いスムーズな解決ができるように努めています。