刑事訴訟法の一部を改正する法律が国会で可決されました。
改正内容は多岐にわたるのですが,代表的なものは以下の通りです。
① 取調べの録画・録音制度の導入
② 司法取引制度の創設
③ 通信傍受の拡大
④ 保釈制度の改革
⑤ 被疑者国選対象事件の拡大
⑥ 証拠開示制度の拡大(証拠一覧表の交付)
⑦ 犯罪被害者等の保護
これらのうち,これまでの刑事手続を大きく変える可能性があるのは,取調べの録画・録音,司法取引,証拠一覧表の交付でしょう。
これらの改正は,そもそも無理矢理自白を迫ったり,捜査機関の意向に沿うような供述調書の作成をしようとしてきた捜査実務を改革しようということが出発点でした。しかしながら,取調べの録画・録音が義務づけられるのは,裁判員対象事件など一部の事件に限られ,全刑事事件の中ではごくわずかです。
また司法取引制度も,自らの罪を軽くするため他人を巻き込んでしまうリスクがあります。
いずれの制度もえん罪を防ぐという意味では不十分な面があります。法律は成立してからもその運用によって,良くも悪くもなります。
施行まではまだ時間がかかりますが,当事務所でも,改正された刑事訴訟法についての研究を重ねよりより刑事手続になるよう弁護実践を積み重ねていこうと思います。