かっとなって暴行してしまったもので殺すつもりは無かった。自分も騙され利用されていたもので,詐欺に関わっていると思わなかった。違法薬物の密輸に関わっているとは思わなかった。
刑事裁判においては,このように犯罪を行っているという認識があったかという,故意があったか否かが争われることが多いといえます。
刑法上の「故意」
しかし,一般の人が,通常,殺意はなかった,故意はなかったと思う内容と,刑事裁判における故意が認められるかどうかの内容は違います。
刑事裁判においては,意欲的に犯罪を行った場合だけではなく,例えば,相手が死んでしまうかも知れない,違法薬物の密輸,詐欺行為などの犯罪に関わっているかも知れない,といった程度の認識があった場合も,故意が認められてしまう可能性があります。
故意を争う場合,取調べ対応が重要
このため,こうした故意が争いになる場合においては,特に,警察官や検察官の取調べにおいて,どのように対応するかがとても重要です。
自分は,故意はなかったと思い,取調べにおいて故意がなかったということを話しているつもりでも,警察官や検察官によって,刑事裁判では故意が認められてしまうような話しにされてしまう危険があります。
刑事裁判などの法律知識が無い一般の人にとって,こうした取調べに自分自身で適切に判断をするのは困難だといえます。
このように故意が争いになる事件において,弁護士の適切な助言を受けて取調べに対応することがとても重要です。