刑事裁判で,ベストな戦略(ケースセオリー)を立てるためには,なるべく多くの証拠を収集し,検討することが必要不可欠です。
供述調書だけでなく,公判調書も検討する
検察官側の証人が出廷することが想定される事件などでは,その証人の供述をあらかじめ精査し,その証人が公判廷でどのような話をするのか,どのような視点から反対尋問をすれば,望んだ回答を得られるのか,分析することが重要になります。
このような証拠として,捜査機関が作成し,弁護人に開示する,その証人の供述調書が挙げられますが,それに限られません。例えば被告人の共犯者が証人として出廷することが想定されており,その共犯者の公判が既に行われている場合などでは,その共犯者の公判調書を検討することが重要です。
公判調書の入手方法
共犯者の公判調書を入手する方法はいくつかあります。検察官に申し入れをして任意に開示してもらう方法や,裁判所に記録の取寄せを請求する方法,その共犯者の判決が確定していれば,刑事確定記録として閲覧謄写する方法などが考えられます。どの方法によるにせよ,共犯者の公判調書を検討し,その共犯者の公判での供述内容,特に表現のニュアンスや,記憶の状態について把握することは,その共犯者の供述を的確に予想することを可能にします。