一審で判決を受けたが納得できない場合には、控訴することができます。控訴とは、高等裁判所での審理を求めることです。たとえば無実なのに有罪の判決が出された、有罪だが刑が重すぎて不服であるという場合が典型的な場合です。
控訴のデメリット
控訴したい場合に、控訴することのデメリットは?とよく尋ねられる場合があります。たとえば、第一審より刑が重くなることはあるのか、といったことは、皆さんがよく心配することです。
しかし、控訴することのデメリットは、あまり多くありません。刑が重くなったりすることは基本的にありません。刑が重くなる可能性があるのは、検察官も控訴している場合に限られます。
一つ考えられるデメリットは、実刑判決を受けて身体拘束がなされている場合に、拘置所や刑務所に入っている期間が長引いてしまうということがあります。たとえば、懲役5年の判決を受けて拘束されている場合、すぐに確定すれば5年間刑務所に行けばいいのですが、控訴をして控訴審の審理に半年かかり、控訴が棄却されてしまった場合、その判決までの期間は拘置所で過ごさなければならず、判決確定後に5年間刑務所に行かなければならないことになってしまうのです。もっとも、この例でいうと控訴審の審理にかかった半年のうちいくらかは、すでに刑務所に行ったものとして扱われる場合があるのですが、これも、その期間全部がすでに刑務所に行ったものとして扱われることはないのが通常です。ですので、少なくとも数か月間分は、身体拘束の期間が長引いてしまう結論になってしまいます。
他方で、保釈が認められているなど身体拘束がなされていない場合は、控訴することのデメリットはほとんどありません(厳密に言えば、執行猶予判決を受けている場合には、執行猶予期間の起算時期が先になってしまうというデメリットはあります)。
控訴のメリット
控訴することのメリットは、もちろん、第一審の判決が覆される可能性があることです。刑が軽くなったり、事実を争っている事件では逆転無罪判決が下される例もあります。
こうしたメリットやデメリットをよく考えて控訴をするかどうかを決めるべきです。ただ、控訴の結果第一審よりさらに結論が悪くなることはありませんので、控訴の結果原判決が覆される可能性は必ずしも高くはありませんが、不服があれば控訴をするのが原則だといってもよいでしょう。
もし、控訴するかどうかに迷う事案があれば、ご相談ください。