控訴趣意書の口頭陳述

弁護人が控訴した場合の,控訴審の弁護活動では,控訴趣意書の作成が最も重要です。

控訴趣意書

弁護人は第一回公判期日より前に控訴趣意書を高等裁判所に提出します。高等裁判所の裁判官は,期日の前に控訴趣意書を読み込み,検察官が答弁書を提出させた場合は答弁書も読み込んだ上で,期日に臨みます。

 期日では,まず弁護人が控訴趣意書に基づいて弁論を行います(刑事訴訟法第389条)。多くの事件の場合,裁判所が弁護人に「控訴趣意書のとおりに陳述しますか?」と確認をします。それに対し弁護人が「陳述します」と述べて,控訴趣意書に基づく弁論が終了します。既に裁判官は控訴趣意書の内容を把握しているわけですから,これで足りるケースもないではありません。

控訴趣意書を口頭で陳述する

 しかし,ケースによっては,単に「陳述します」と述べるだけではなく,改めて口頭でプレゼンテーションを行うこともあります。必要があれば図やパワーポイントを用いることもあります。触れられる内容は控訴趣意書の内容に限られますが,控訴趣意書のうち,特に重要な点を強調したり,口頭でしか伝わらないようなニュアンスを裁判官に伝えたい場合,このような弁論は効果を発揮します。
 控訴審で最も重要な能力は,控訴趣意書の文章を書く能力であることはもちろんです。しかし,控訴審は依頼者の方が不当な判決を覆す数少ないチャンスですから,弁護人が自分の持てる説得技術のすべてを適切に活用することが重要です。そして日々,プレゼンテーションの技術を磨くことは,控訴審での成果にもつながると考えています。

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