控訴審の弁護を依頼した弁護人がどんな記録を参照しているか、には注意が必要です。
控訴審とは
控訴審は、1審で行われたことについて、どんな問題点があったかを書面にまとめて裁判所に提出する、という手続きです。
ですから、1審の手続きでどのようなことが行われたのか、を確認することが当然必要になります。
1審の手続きで採用されて裁判所に提出された証拠や尋問の調書等は裁判所で謄写をすることができます。
控訴審での証拠の扱い
しかし、たとえば採用されなかった証拠は裁判所で謄写することができません。
特に裁判員裁判では、検察官が裁判所に採用するよう求める「請求証拠」の他に、「類型証拠開示請求」、「主張関連証拠開示請求」の手続きを利用することで、膨大な証拠が弁護人に開示されます。
その中で、正式に採用される証拠は、ごくわずかになるのが通常です。
裁判の段階では「統合捜査報告書」「合意書面」等の書面にまとめられてコンパクトになっており、もともとの証拠がどのようなものだったかもわからなくなることも少なくありません。
控訴審では、裁判所に提出されていない膨大な証拠の中に、弁護側にとって有利な証拠がないのか等を改めて検討する必要があります。
記録引継ぎの重要性
ですから、1審の弁護人に記録の引継ぎを依頼することが重要です。
ところが、実際には、1審弁護人に引継ぎを依頼することもないままに控訴審に対応する弁護士や、あるいは引継ぎの重要性を認識することなく、控訴審弁護人から引継ぎの依頼を拒否したりする弁護士もいます。
ご自身の1審弁護人が記録を引き継いでくれているか、控訴審弁護人が1審の記録のうちどのようなものを参照しようとしているかには、留意してください。