共犯者なのに別々に裁判が行われる場合
二人以上の関与者が罪を問われ,裁判にかけられた場合でも別々に裁判が行われることがあります。全員が無罪を主張し,1人が先に裁判されて有罪となってしまった場合,後から裁判を行う人は,その判断に拘束されるのでしょうか。
答えは,ノーです。裁判は,その裁判で出てきた証拠からどんなことがいえるかを認定して結論を出す場です。「真実」を探しますが,「真実」は厳密には明らかにすることはできませんから,提出された証拠によって何があったかを判断するのです。そうすると,それぞれの裁判で出される証拠が違えば,違う結論がありうることになります。証人尋問一つとっても,弁護人が証人にどんな反対尋問をするかで,結論に与える影響はがらっと変わります。こうして,前に行われた裁判とは全く異なる事実認定が後の裁判で行われることは現実にあるのです。
弁護活動は結論を変える
このことからも,裁判は誰がやっても結論が同じでないことがわかります。法廷に顕出される証拠をコントロールし,出てくる証人に対し適切な反対尋問をし,その証拠関係から導かれる結論をきちんと伝える弁論をすることが,結論を大きく左右するのです。望ましい結論を勝ち取るためには,高い技術を持った弁護人の選任が重要です。