1 概要
少年事件は、少年法の下、20歳未満の少年(少年、少女)が対象となります。
まず、警察、検察が、少年について犯罪を行ったか捜査します。
そして、次に、家庭裁判所が、少年自身や家庭環境、生活環境などを調査し、少年に対する処分を決めるというのが原則的な流れです。
以下、
① 警察・検察の捜査
② 家庭裁判所における手続き
③ 少年に対する処分
に分けて、少年事件の流れをご説明します。
2 ①警察・検察の捜査
少年事件では、まず、警察、検察が、少年について犯罪を行ったか捜査するのが原則です。捜査のやり方として、少年を逮捕して警察署などに拘束する場合と、拘束しない場合があります。
拘束する場合は、逮捕し、その後、さらに最大20日間の拘束をされる可能性があります。また、他の罪でさらに逮捕されて拘束が続く場合もありえます。捜査では、少年は、警察官や検察官から取調べを受けることになります。
弁護士の活動としては、少年に警察署などで面会(接見といいます)し、取調べに対応するアドバイスを行ったり、被害者に対する被害弁償、示談交渉を行ったり、早く拘束が解かれて自宅に戻れるよう活動します。
3 ②家庭裁判所における手続き
捜査の結果、少年が犯罪を行ったとされれば、家庭裁判所が事件を担当し(家裁送致といいます)、少年に対する処分を決めることになります。
なお、犯罪を行ったといえない場合でも、将来犯罪を起こすおそれがあるとされる場合、家庭裁判所が担当し、処分を決める場合があります。
家庭裁判所は、少年が行った犯罪の内容だけではなく、少年の家庭環境、生活状況、親子・家族関係、交友関係など様々な事柄を調査し、その上で少年に対する処分を決めます。
調査は、家庭裁判所の調査官が行います。
その調査は、少年を少年鑑別所に拘束して調査を行う場合と、拘束しない場合があります。
少年鑑別所に拘束される場合、原則として最大4週間拘束し、少年に対して聴き取りや各種の検査などが行われ、調査が進められます。
家庭裁判所の手続きで少年に弁護士がつく場合、弁護士は「付添人」と呼ばれます。
弁護士は、被害弁償、示談交渉だけではなく、少年の反省や家庭環境、生活環境が改善されるよう、また少年鑑別所での拘束から早期に自宅に帰れるよう活動します。
調査を経て、家庭裁判所で審判が開かれます。審判は非公開で、少年の他、ご両親など裁判所が認めた人しか出席できません。
通常は、1時間程度の間に、裁判官から主に少年に質問し、必要に応じて出席したご両親にも質問がなされます。弁護士がついている場合、弁護士からも少年に質問を行います。
審判当日の少年らのやりとりをも踏まえ、最後に、裁判官が少年に対する処分を決めて言い渡します。
(なお、事案軽微で少年に問題が少ない場合など、審判自体を行わない場合もあります)
4 ③少年に対する処分
少年事件において、少年に対する主な処分は次の通りです。
①保護観察
保護観察所の監督に服させる処分
②試験観察
半年など一定期間、社会での生活を送り、その生活状況をふまえて再度審判を行う
③少年院送致
少年院に収容させる処分
④検察官送致(逆送)
成人と同様に刑事裁判を受けさせるようにする処分
⑤不処分
犯罪を行ったと認められない、処分の必要がないなどの場合
(他に、児童自立支援施設や児童相談所長などに送致される場合があります。)