無期懲役は,懲役の期限の定めのない刑
懲役10年というように,刑期が定まっている場合を有期懲役といいます。
無期懲役という刑が下ると,いずれ社会に復帰するという報道が見られますが,実態は限りなく終身刑に近づいています。
無期刑で仮釈放が認められる件数は,直近10年(平成21~30年)で毎年10人未満です。
認められた人の平均服役期間も30~35年となっています。
有期刑の上限が30年に引き上げられてから,30年未満で仮釈放されることはほぼなくなりました。15年たてば仮釈放が認められるというのは,遠い過去の話なのです。
無期懲役の仮釈放
30年たてば認められるというものでもなく,仮釈放の審査には,起こした事件の内容はもちろんのこと,被害者(遺族)の意見聴取や検察官の意見聴取なども行われます。
なので,仮釈放が事実上認められないケースがほとんどで,40年,50年以上服役している人は少なくありません。
平成30年末の時点で,50年以上服役が11人,40年以上が40人,30年以上が225人となり,80歳以上の無期受刑者は97人,70歳以上が358人です。
10年間の統計をみると,仮釈放が認められたのが67人に対し,刑務所で死亡した人数は,210人に上ります。
なお,凶悪犯罪が増えているかのように思われている人もいるかもしれませんが,無期懲役刑を受けた人数は,平成21年は81名,22年が50人であったのに対し,28年14人,29年18人,30年25人と,かなり減っています。
厳罰化は年々進むのに比して,無期懲役刑が減っているのは,重大犯罪の件数自体が減っているからでしょう。