先日、東京ディフェンダー法律事務所の弁護士が担当していた殺人事件で、無罪判決を獲得しました。
第一審
事案は、家族内での殺人事件でした。
第一審で有罪判決が出た後、被告人側が控訴し、控訴審から弁護を受任しました。
弁護を受任し、記録を検討した結果、被告人が重篤な精神病にり患しており、精神病の圧倒的な影響で事件を起こした可能性が高いと考えられました。
刑法では、精神病の影響などにより、ものごとの良しあしを全く判断できず、自分の行動を制御できないような状態で起こした犯罪については、責任を問われないと決められています。これを心神喪失といいますが、そのような状況であるように思われました。しかし、第一審ではこのことを十分に主張していませんでした。
控訴審の弁護活動
そこで、控訴審では、第一審の精神鑑定の問題点を徹底的に分析し、洗い出しました。さらに、新たに複数の精神科医に意見を求め、意見書等を書いてもらい、裁判所に提出しました。裁判では、第一審の鑑定を行った鑑定医を再度証人尋問したほか、弁護側からも精神科医に証人出廷をお願いしました。
証拠の検討を経て、判決は弁護側の主張を、ほぼ全面的に受け入れました。第一審判決は破棄され、依頼人は無罪となりました。
責任能力を争う弁護活動は、専門性が要求される刑事事件の弁護活動の中でも、特に専門性が要求される弁護活動です。責任能力の主張が可能かどうかの検討から、弁護士による専門的な視点が必要不可欠です。もし、責任能力に関する事項について法的助言が必要な場合には、当事務所までぜひご相談ください。