暴力をふるってしまった。ケガをさせてしまった。そのような事件を起こしてしまった時に、「殺人未遂」という罪名で逮捕される場合があります。
殺人未遂には殺意が必要
自分としては全く殺すつもりなんてなかった、という場合でも、殺人未遂という罪名がつく事件というのは少なくないものです。
もちろん殺人未遂は重い罪名です。裁判になった場合、裁判員裁判で裁かれることになります。
では、殺人未遂で逮捕された場合、必ずそのまま殺人未遂で裁判になってしまうのでしょうか。
答えは、そうではありません。相手に暴力をふるったり、怪我をさせたことが間違いない場合でも、殺人未遂が成立するためには、殺意があることが証明される必要があります。
殺意を認めさせようとする取調べへの対応が重要
殺意は、「相手が死んでも構わない」と思っている状態をいいます。この証明は、事件の内容などから推論する形で行われます。たとえば、相手の胸をめがけて拳銃を撃っていれば、通常、「死んでも構わない」という意思だったと推測されるわけです。
容疑者自身の供述も重要です。捜査機関は、取調べを行い、容疑者に殺意を認めさせようと迫ります。たとえば、こうです。
「君は、殺そうと思っていたんだろう」「いいえ、そうじゃありませんでした」
「でも、君は包丁を使っているね」「はい」
「包丁で切り付ければ、血がたくさんでるかもしれないよね」「はい」
「血がたくさん出れば、死んでしまうかもしれないね」「・・そうですね」
「すると、やはり死んでしまうかもしれないと思っていたんでしょう」「そんなことは・・」
「でも、君の行動は、相手が死んでもいいと思っている行動だよ」「・・・」
このような取調べに言いくるめられて、「死んでも構わないと思っていました」という供述を引き出されてしまう危険が常にあります。
このように、殺すつもりがなかった、として殺意を争う事件においては、取調べへの対応が重要です。取調べに適切に対応するためには、弁護士による専門的助言が不可欠です。
これが功を奏せば、事件は殺人未遂ではなく、例えば傷害事件として起訴されます。あるいは、示談などがうまくいけば、不起訴処分を狙うこともできるでしょう。
当事務所でも、殺意を否認し、争って、傷害事件として扱われた例が多数あります。また、並行して示談活動などを行い、不起訴処分が獲得できた事例も多くあります。
殺人未遂で逮捕されたら、当事務所までお早目にご相談ください。