接見等禁止とは
勾留に際して,接見等禁止の決定がなされることがあります(刑事訴訟法第81条)。この決定は,外国人や少年が被疑者である場合を除くと,ほとんど包括的に―つまり,接見や手紙のやり取りを禁じる対象を特に限定せずになされます。したがって,多くのケースでは,弁護人がアクションを起こさない限り,共犯者や事件関係者だけでなく,全く事件と関係のない家族などにも面会できないことになります。
準抗告が許されない?
この接見等禁止を争う方法にはいくつか手段があります。最も優れているのが準抗告による方法です。包括的な接見等禁止決定の全てを取り消すよう申し立てると共に,予備的に家族など,面会により生じる弊害が小さい者との接見等禁止の取消し(一部取消し)を求める方法が考えられます。準抗告は申立てが受理されたその日に結果が出ることがほとんどですから,迅速な解決が図れますし,さらに不服申し立てを最高裁判所に行うことができます。もう一つの手段として,接見等禁止の一部解除をする職権発動を求める,というものがあります。しかしこちらについては,裁判官が職権を発動しなかった場合の不服申し立ての手段がなく,さらに裁判官が検察官に意見を求め,その回答を待って初めて結論が出るので,申立から解除がなされるまで時間がかかります。弁護人としては第1に準抗告の方法によるべきですし,現に東京地裁の多くの裁判体では,問題なく準抗告の方法によることが認められています。
しかし,他の都道府県の一部の裁判体は,上記の準抗告による方法を一切認めず,予備的な申立てを一切検討しないまま棄却する,という「運用」に固執していることがあります。このような裁判体に偶然あたってしまった被疑者が受ける不利益は決して小さなものではなく,まさに不公平が生じます。このような不合理な運用をするごく一部の裁判官は,やがて減少すると思われますが,不公平な運用によって被疑者が不利益を被ることがないよう,徹底的に不服申し立てを行っていくことが重要です。