落とし物や忘れ物を拾って使ってしまったら犯罪になるのでしょうか?
占有離脱物横領と窃盗
財布や携帯,他人の荷物などそれを取るつもりで拾った場合,それが公共の場所である場合(路上など)占有離脱物横領(遺失物横領)という罪になります。
もし忘れ物が店舗の中などにある場合は窃盗罪となる場合もあります。
この違いは,占有の有無にあります。
占有とは,その物に対する他人の事実上の支配という意味です。
たとえば,喫茶店に入って,机の上にバッグを置いたとして,そのままトイレに行きます。
その机からは離れてしまいますが,そのバッグはまだトイレに行った持ち主の物だと誰もが思うでしょう。その場を離れていたとしても事実上の支配(占有)が及んでいると考えられます。なので,トイレに行っている隙に取ってしまえば窃盗罪になります。
これに対して,路上に財布を落としてそのまま気付かずいってしまったような場合は,もはや誰の物かわかりません。この場合には事実上の支配は及んでいないので,遺失物横領の対象となります。
刑罰も窃盗罪は10年以下の懲役ですが,遺失物横領は1年以下の懲役又は10万円の罰金で,その重さにかなり違いがあります。
たとえば
たとえば自転車を盗んでしまう場合も,自転車置き場に整列している自転車を盗めば窃盗,路上に捨てられているような状態で放置しているものを取れば遺失物横領ということになります。
路上で財布を拾ってしまった場合,遺失物横領罪なのですが,中に入っている他人のクレジットカード,キャッシュカードを使用してしまうと,新たに詐欺罪や窃盗罪が成立してしまうことになります。
もちろん,警察に届けるつもりで善意で拾う行為は犯罪でも何でもありません。