捜査機関が,強制的に人の住居を捜索したり,証拠物を差し押さえるためには,裁判所の発付する令状が必要です。
令状
令状には,逮捕状,検証許可状,捜索差押許可状などがあり,いわゆるガサ入れが捜索差押許可状です。
捜索差押許可状は,通常は警察官が裁判所に対して許可状請求書を提出し,裁判所が許可状を発付すると,警察官はそれを持参して,該当場所に赴き,執行します。
このとき,許可状は,被処分者に示さなければなりません。
呈示を受けた場合には,いかなる嫌疑で,どのような場所,物が対象かをきちんと把握する必要があります。
我が国では,検察官の勾留請求の却下率は徐々に上昇し,裁判所がきちんと審査する方向にありますが,捜索差押等の強制令状の発付については,却下事例はほとんどなく,警察官が請求すれば,ほぼ認められているのが現状です。
携帯電話やPCなど,生活や仕事に必要なものも押収されてしまうので,安易な令状発付には慎重にならなければなりません。
刑事訴訟法
刑事訴訟法第106条
公判廷外における差押又は捜索は、差押状又は捜査状を発してこれをしなければならない。
第107条1項
差押状又は捜索状には、被告人の氏名、罪名、差し押えるべき物又は捜索すべき場所、身体若しくは物、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長が、これに記名押印しなければならない。
第110条
差押状又は捜索状は、処分を受ける者にこれを示さなければならない。