控訴趣意書,上告趣意書
控訴審(高等裁判所)および上告審(最高裁判所)における審理は、まず、上訴する側が「控訴趣意書」あるいは「上告趣意書」を提出するところから始まります。これらの書面は、控訴や上告の理由を詳細に記載した文書です。基本的には、弁護人が提出するものとなっています。
この趣意書には、提出期限があります。提出期限は、裁判所が決めます。裁判所が記録を原審より引き継いだ段階から1か月先くらいの期限が指定されることが多いです。この期限を1日でも過ぎると、ほぼ自動的に上訴が棄却されてしまうので注意が必要です。
趣意書の延長申請
もっとも、事件の内容などによっては、1か月で検討するにはとても足りない事件はたくさんあります。そこで、そうした事件では、弁護人が、趣意書の提出期限の延長を申請します。具体的に、当該期限では間に合わない理由を記載して裁判所に提出することが必要不可欠です。
申請を認めるか否かは、裁判所次第です。弁護人の要求したとおりに認められるケースもあれば、要求したのにまったく延長を認めないケースもあります。まったく延長が認められない場合は、当然ですが、当初の期限に間に合うように趣意書を提出しなければいけません。もっとも、趣意書を提出した後に、趣意書の内容を補充するような書面を提出して、主張を詳しく行うことは、禁じられていません。