刑事裁判において被告人の前科を立証するものとして検察官が前科調書を証拠請求することがあります。
前科とは
法律上の前科とは,以前に刑事裁判によって有罪判決が確定したものを言います。
前科情報は,検察庁により保管されています。
前科調書には,前科にかかる裁判の日,確定の日,刑の内容,言い渡し裁判所,罪名,実刑であれば仮釈放の日,刑執行終了の日などが記録されています。
検察庁が保管する前科情報は,抹消されることはありません。
前科による影響と弁護活動
一般的に前科があることは,前科がない人に比べて,より強い非難が可能ですから,刑が重くなります。
しかし,前科と行っても相当古い前科であったり,新たに起こした事件と関連性がない事件であったりする場合には,必ずしも考慮されるわけではありません。
前科調書は,刑事訴訟法上,取調べることに不同意という意見を述べても,刑事訴訟法323条2項により裁判所が必要であると思えば採用されてしまいます。
前科の時期,前科と今回の事件の関連性を考慮し,前科を考慮することが相当でない場合には,弁護人が採用に反対する意見を述べるべきです。
特に裁判員裁判などの市民が判断する事件で,否認事件などでは,前科があるから悪い人だ,今回も犯罪を行ったのではないか,という事実認定をする危険性があります。
そのような事実認定は,間違いが生じるもとになります。